糸を噛み千切って食べた。真っ赤になって吐き出された。血だ、恋だ。針は止まらない刻々とぐるぐる。メリーゴーランドにのった羊は針を刺されて泣いている。ちくちくと綿みたい。雲から落ちた青い糸。ぽたぽたぽたと水道管から鉛が出た。しゅぽしゅぽしゅぽとポンプからは塩素ガス。もわもわとほこりをかぶり時計はもう動かない。ぐるいぐると逆回転、ちくちくと扉を閉める。どこまでいっても伸びる鼻。どこまでいっても咲いてる花。ちくちくと合間を縫いつくろう。悲鳴と歓声が耳に届くの。耳はパタパタと飛んでいき、息をして死んでいく。ちくちくとこくこくと繋ぎ合わせる。歪んだかえるはにたりと笑った。ぴょこぴょこと指が動き出す。指輪はどこにと主が尋ねる。指は糸に巻かれてなくなりましたと嘘つきが答える。ぴりぴり。心の溝を紐で締めてしまおう。ぴしぴしと糸がはる。春の糸夏の色秋の息冬の礎。糸はもつれて一回転。ぐるりとかくれんぼ。大きな耳が見つかっちゃう。がりがりと削ってく、落とされたパンの耳。じゃりじゃりとお口に入る。どこだどこだと奥地を探す。探してみても見つからない。ぐちゃぐちゃぐちゃと床の声。揺れる時計、たゆむ糸。地震がおきた。自身はどうした?自身を探してなくなった。終われない終わらない。ゆらりゆらりと振り子は笑う。振られた地球は逆回転で降られるの。ずるずると落ちてくと地球は兎になった。遅刻しちゃう、遅刻しちゃう。とてとてと猫は笑う。とぼとぼと玩具は泣く。なくなった鼻に少年は笑う。なくならない靴に女は歌う。ちくちくちくと本を閉じる。ぼろぼろぼろと本は泣く。抜け落ちたページに涙がしみる。ぶわっと色は広がった。しゅっと筆ではじかれた緑が広がる。じゅわじゅわと広がって私を囲む。ちくちくと縫い付ける。草の王冠になる。王に跪き糸で首を跳ね飛ばされる。しゅっと飛んで縫えないの。ああぁ嗚呼あああああああああぁああ嗚呼あああああああああああああああああああああああああああああぁあああ。誰も縫い付けてくれしないの。ぐちょりぐちょりと鉛と紙が流れ落ちる。遠めに見たアヒルが一緒に泣いた。糸は真っ赤に染まる。血だ、愛だ。間は何もない。真っ青で真っ赤だ。それは鼻だった。それはトナカイのだ。忘れ物落し物。意図ではない。糸はどこ。しゅるしゅると手繰れない、辿れない。道はどこ。踏み外したところに寄り道熊が通る。きょろきょろ未知を見つけなきゃ。満ちはどこ。がらんどう。何もない、縫い付けれない、私の心。糸も布もない。立ち尽くす。立ち止まる。行き止まり。どんどんと叩く。ぐらぐらぐらぐら、あぁ揺れる。壁は頑丈な心で耐えた。どんどんとはねる。床は眉間のしわをよせて嫌がった。うずくまった。・・・・。・・・・。・・・・。・・・。・・・。・・・・・・・・・・・・。・・・・。悲しいの。寂しいの。恋しいの。小石を投げたら自分にあたった。ぽろぽろと泣けなかった。どこにも行けなかった。地球に話しかけた。兎は本に閉じられていた。がらくたじみた玩具が私を囲んだ。物体が責める、有限が咎める、世界が裏切る、人が見捨てる、自分が。。。。ごちゃごちゃ、言葉が唸る文が追い立てる空気が締め付ける。ちくちくと、世界をつながないで。いやだ、向こうには行きたくない。橋渡りを無視した私が叫ぶ。声はない、音もない。実態もない、透明でちっぽけで陳腐だった。泣きたかった。泣けなかった。泣く涙もないのだ。叫ぶいともない。手は真っ赤だった。糸の後と針の傷だった。傷だった。心は冷たかった。陰湿で陰険だった、必然で当然だった。歯痒かった。落ちない涙にオトシタ子供が啼いた。両親があった、良心が語る。受け入れられない。ぐるぐると愚か者は回る。溢れる炭酸水、ミルクにコーラにジンジャーにウォッカ、コーヒー、緑茶、ビール、ココア。どろどろどろとこぼれだした心臓。誰も救い上げない。私が拾わなきゃ。わたしが諭す。ぽたぽたぽたと浴槽だった。ぶくぶくと泡を吐く。ぱくぱくと魚が食べる。肌色の手が水にうつる。見ずに魚がぬめり。ぴちぴちと水しぶき。回って廻られメリーゴーランド。刻々と時間を刻む。無駄と無知が交差点で衝突。がっしゃんと皿の割れた音。小鹿が怒ったようにこちらをみる。ぱりんと皿を拾う。死にたがりは皿を喰う。空に放り出された。針に刺さる。胸を張り、針をもつ。ちくちくと口を縫う。糸は音の間をくぐる。音はおたまじゃくしの様に動き出す。にゅるにゅるんとおたまじゃくしは逃げ出す。音階は的外れ。人の心もマトハズレ。ずれた不協和音。噛み合わない、話。ボタンを掛け間違えるような。ボタン止めを間違えるような。飴玉みたいなボタンが落ちる。りんとベルの音を立てて。それは鐘だった。12時の魔法は解けても糸で靴は作れなかった。寝ないせいで小人さんはもうこない。じりじりとせかすように音が響く。イトを持たない私はそっと起きた。それは縫う余地もない太陽だった。